2018年9月
夏の暑さと園庭気温の関係
条件の違う園での測定です
はじめに
夏の暑さで園児を園庭に出せない・・
このことを感じて3年前に現場の測定をしてみました。
条件が異なる3園の庭の気温を測って考察しました。
今年のほうがずっと暑いのですが、対策の足掛かりにでもなればと思います。
測定の条件 (地上からの高さ)
Ⅰ 地上から測定する高さ
50cm (子どもの胴体) 80cm (子どもの顔部) 150cm (大人の顔部)
測定日 2015年6月~8月 いずれも午前10時30分ごろ
Ⅱ 測定結果と考察
細かいデータは割愛して、いっぺんに、測定値をお知らせします。
(1)東京都N保育園 地面は防滑性ビニールシート。なお同地上2M高さにテントを張っている
暖まったシートの地面から昇る輻射熱をテントの下で測定
子ども 地面から50cm(胴体部)39度, 80cm(顔部)37度
大人 地面から150cm(顔部)35度
〇テントの下では地上50cmの低い場所の温度が150cmの高さに比べて4度も高い
(大人の顔部の気温は子どもの体部の気温より4度低いから、危険予知感も低くなる?
〇日よけのテン下は温度が中に溜まり、さらに温度を上げる?
(2) 東京都H保育園 地面は従来の土面に水を撒く、撒かない場合
水を撒かない地上から50cm 35度 80cm 38度 150cm 41度 地上から高いほど気温は高い
〇顔部分の気温は大人のほうが子どもの体より6度も高いので危険度の察知が早くなる?
〇土面の午前は気温が低い。上からの直射日光時間によって気温は上がる
〇地面に水撒きをするとどの高さも気温はほぼ5度下がる
(3)石川県Sこども園 地面は弾性舗装材ゴムチップ敷き厚さ15ミリ(2014年施工)
地上50cmから150cm間での気温差は平均1度半とあまり変化がない。
水撒き効果の測定は無かった。
〇子どもと大人が受ける地上からの暑さは1度以内でほぼ同じ。
Ⅲ 気づきと課題 子どもに影響する外気温は
・地面に近いほど暑くなる場合と、高い場所ほど暑くなる場合があるようだ
・大人は暑くなくても、背の低い子どもの場所が暑い場合がある。危険性への気づきが遅れる?
・テントの下は日陰だが、地上から低い部分が暑い。下からの暑さがこもる?
・土面は午前中の温度が低い。日差しが強い午後は土面より高い場所ほど暑くなる
・従来の土面への散水が気温を4~5度下げた。子どもの背丈にとっては好ましい
・2014年施工のゴムチップ敷きは高低場所の温度差が少ないようである
園ごとの庭のあり方が違うので3園の比較はできない。
また地表からの温度も風や地面の質など条件が異なるので結論は出しにくい。
しかし今回の測定結果から、注目してみたい問題点や課題等も少し見えてきたように思われる。 (2016年3月日本児童安全学会発表)